有線サテライトスタジオ

所 在 地:東京都渋谷区神宮前神泉町
用 途:放送スタジオ
竣 工:2000年10月

このサテライトスタジオは、これまで音楽による有線放送を専門に行っていた企業が新しく一般放送的な事業に乗り出すために、企画された「まちかど」のスタジオである。それまで、本社屋の一階にあったショウルームを改修し、スタジオ、調整室、ラウンジの三個の機能をバランスよく配置することが求められた。特にスタジオ部分は外からもラウンジからも見えるようにし、一般の視聴者が放送環境そのものを共有することができるように考慮している。今後、BS、CSも含め、放送業界はデジタル化を極め、多様化が推進されていくと思われるが、このような視聴者参加的なアナログの仕組みは逆にますます重要になっていくだろう。特に、地域のFM局などがこれから増えると思われるが、その場合などは「まちかど」にあるのが当たり前のようになっていくと思われる。その意味では、このプロジェクトは地域発信のモデルとして先駆的な意味を担っている。

 構成的には、本社のエントランスホールの脇に先ず導入空間としてのラウンジを配置し、その奥にスタジオと調整室を配置した。全体のテーマとしては、このスタジオコンプレックス自体が映像スタジオの中の一セットと見えるように演出を行っている。天井全体を黒い電気ダクトを覆い、どのようなイベント企画にも対応できるような仕様としたのもそのためだが、特にラウンジの壁には本物のレンガタイルを貼り、ストリートの一部を形成するようなデザインとした。これは、エントランスホールの無機的な白い雰囲気と対照的な空間を創出することにより、雰囲気を変えることを意識したものであいる。スタジオや調整室を含めた全体の意匠としては、出来るだけ自然素材にこだわり、長時間滞在しても疲れの来ない空間とすることを心がけた。放送内容や方法がいくら進化しても、最後はヒューマンタッチが大事にされないと人間が関わる装置としては意味がないからである。